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失敗の本質

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失敗は避けるべきものではない。
それはそかから学びがあり、そこから得た経験や知識によって次の勝利につながるからである。
よって最短で大きな勝利を収めるためには、不要な失敗や組織を壊滅させるような敗北は避けなければならない。


戦略性
1. 戦略の失敗は戦術で補えない
戦略とは、いかに「目標達成につながる勝利」を選ぶかを考えること。
日本人は戦略と戦術を混同しやすいが、戦術で勝利しても最終的な勝利には結びつかない。

2. 「指標」こそが勝敗を決める
勝利につながる「指標」をいかに選ぶかが戦略である。
性能面や価格で一時的に勝利しても、より有利な指標が現れれば最終的な勝利にはつながらない。

3. 「体験的学習」では勝った理由は分からない
「体験的学習」で一時的に勝利しても、成功要因を把握できないと長期的には必ず敗北する。
指標を理解していない勝利は継続できない。

4. 同じ指標ばかり追うといずれ敗北する
体験的学習や偶然による指標発見は、いずれ新しい指標(戦略)に敗れる。
勝利体験の再現をするだけでなく、さらに有効な指標を見つけることが大切。
競合と同じ指標を追いかけてもいずれ敗北する。

思考性
5. ゲームのルールを変えた者だけが勝つ
日本は1つのアイデアを洗練させていく錬磨の文化。
しかし、閉塞感を打破するためには、ゲームのルールを変えるような劇的な変化を起こす必要がある。

6. 達人も創造的破壊には敗れる
既存の枠組みを超えて「達人の努力を無効にする」革新型の組織は、「人」「技術」「技術の運用」の3つの創造的破壊によりゲームのルールを根底から変えてしまう。

7. プロセス改善だけでは問題を解決できなくなる
ダブルループ学習で疑問符をフィードバックする仕組みを持つ。
「部下が努力しないからだめだ!」と叱る前に問題の全体像をリーダーや組織が正確に理解しているか、再確認が必要である。

イノベーション
8. 新しい戦略の前で古い指標はひっくり返る
イノベーションとは、支配的な指標を差し替えられる「新しい指標」で戦うことである。
同じ指標を追いかけるだけではいつか敗北する。
家電の「単純な高性能・高価格」はすでに世界史上の有効指標ではなくなった。

9. 技術進歩だけではイノベーションは生まれない
日本人は体験的学習から過去いくつものイノベーションを成し遂げたが、計画的に設計されたイノベーションを創造するためには、既存の指標を見抜き、それを無効化する新しい指標をダブルループ学習で見出す必要がある。

10. 効果を失った指標を追い続ければ必ず敗北する
イノベーションは既存の戦略を破壊するために生み出されており、効果を失った指標を追い続けることは他社のイノベーションの餌食となることを意味する。
高性能とイノベーションは偶然重なることもあるが、本来は別の存在である。

型の伝承
11. 成功の法則を「虎の巻」にしてしまう
日本軍と米軍の強みの違いが大東亜戦争の推移と勝敗を決定した。
「型の伝承」のみを行う日本の組織が「勝利の本質」を伝承できていないことで、強みを劣化・矮小化させて次世代に伝えている。

12. 成功体験が勝利を妨げる
戦略を「以前の成功体験をコピー・拡大生産すること」であると誤認すれば、環境変化に対応できない精神状態に陥る。
「型のみを伝承」することで、本来必要な勝利への変化を全否定する歪んだ集団になってしまう。
常に「勝利の本質」を問い続けられる集団を目指すべき。

13. イノベーションの芽は「組織」が奪う
一人の個人が行うイノベーションでさえも、組織の意識構造によって生み出されるか、潰されるかが左右される。「型の伝承」から離れ、「勝利の本質」を伝承する組織になることで初めて所属する全ての人間が変化への勝利に邁進できる集団となる。

組織運営
14. 司令部が「現場の能力」を活かせない
あなたが「知らない」という理由だけで、現場にある能力を蔑視してはいけない。
優れた点を現場に見つけたら自主性・独立性を尊重し、最大・最高の成果を挙げさせる。

15. 現場を活性化する仕組みがない
米軍は作戦立案をする中央の作戦部員が、現場感覚と最前線の緊張感を常に失うことなく侵攻に邁進できた。
現場の体験、情報を確実に中央にフィードバックし、目標達成の精度と速度をさらに高めていく仕組みを作ることが重要である。

16. 不適切な人事は組織の敗北につながる
厳しい課題に直面していたら、「お飾り人事」を徹底排除し、課題と配置人材の最適化を図ること。
能力のない人物を社内の要職に放置すれば、競合企業を有利にさせる以外の効能はない。

リーダーシップ
17. 自分の目と耳で確認しないと脚色された情報しか入らない
組織の階層を伝ってトップに届く情報は、フィルタリングされ担当者の恣意的な脚色、都合のいい部分などが強調されていることが多い。
問題意識の強さから、優れたアンテナを持つトップは激戦地(利益の最前線)を常に自らの目と耳で確認すべき。

18. リーダーこそが組織の限界をつくる
愚かなリーダーは「自分が認識できる限界」を、組織の限界にしてしまう。
逆に卓越したリーダーは、組織全体が持っている可能性を無限に引き出し活用する。

19. 間違った「勝利の条件」を組織に強要する
「間違った勝利の条件」を組織に強要するリーダーは集団に混乱を招き、惨めな敗北を誘発させているだけである。
求める勝利を得るためには「正しい勝利の条件」としての因果関係に繊細かつ最大限の注意を払うべきである。

20. 居心地の良さが問題解決能力を破壊する
「居心地の良さ」とは正反対の、成果を獲得するための緊張感、使命感、危機感を維持できる「不均衡を生み出す」組織が生き残る。
指揮を執る人間には「見たくない問題を解決する覚悟の強さ」が何より要求される。

メンタリティ
21. 場の「空気」が白を黒に変える
「空気」とは体験的学習による連想イメージを使い、合理的な議論を行わせずに、問題の全体像を1つの正論から染め上げてしまう効果を持つ。
議論の「影響比率」を明確にし、意図的な「空気の醸成」が導く誤認を打ち破る知恵を身につけるべき。

22. 都合の悪い情報を無視しても問題自体は消えない
情報や正しい警告を受け入れなくとも、問題自体は消えることはない。
グループシンクやサンクコストの心理的罠にどれだけ早く気づき、方向転換できるかが組織の命運を決める。

23. リスクを隠すと悲劇は増大する
リスクは「目を背けるもの」でも「隠す」ものでもなく、周知させることで具体的に管理されるべきもの。
ビジネスではリスクを「かわす」のではなく徹底して管理しなければ存続していくこと自体が難しくなる。


「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ

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